WAKUWAKU Stool

玄関に置かれた段ボールの山。
そこには、期待や、記憶の曖昧さ、
そして小さな高揚感が、
いっぺんに積み重なっている。
置き配は、感染症、効率と安全、
そして「不在」を前提にした社会が生み出した風景である。
かつて当たり前だった対面の受け渡し、
短い会話や、受領のための
ハンコを押す動作は、静かに省略され、
風景からこぼれ落ちていった。
残るのは、黙って置かれた荷物だけだ。
触れられなくなった「他者の気配」は、
スツールから
「腰掛けるための装置」へと変換される。
座ることで、かつて存在したやり取りを想像し、同時に、それがもう必要とされない現在を自覚する。